チェンソーマン英語備忘録第4話です。
注:最新話までのネタバレを含む可能性があります
アキの家で夢を叶えるデンジのシーン
plum 梅
西洋でplum というと「セイヨウスモモ」、「プラム」を指すそうで、
日本語での「梅」をより強調したい場合はjapanese apricot のほうが良さそうです。
https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/plum
梅ジャム、食べたことなくて調べたらとても美味しそうでした。。。
shake 振りかける
シェイクする の意味以外にこれも。
taylor swift の『shake it off』は邦題が『気にしてなんかいられない』ですが、スラング的に「水に流す」「気にしない」「ドンマイ」の意味だそうです。
shake の中には「振り切る」の意味もあったのでそこからきているのかなと思います。
魔人退治に出かけるデンジとアキのシーン
アキと警官の会話シーン
fiend 悪霊、鬼、悪魔
中毒者やマニア(~狂)などの意味もあるそうです。
なんで devil じゃなくて fiend なのかについては分からなかったのですが、
①どっちも同じ意味だけど微妙に違うから採用された。作中では説明されているから大丈夫
というのと、とある方がTwitterで、
②devil や demon より頻度が低いから採用されたのでは、とおっしゃっていたので納得しました。
ちなみに、『デビルマン』の英語タイトルはそのまま『DEVILMAN』でした。
英語圏には魔人(悪魔と人の中間の存在)がいないんでしょうか。なんとなくキリスト教的に悪魔はダメ絶対みたいな存在として扱われているイメージがあるので、日本と違っていなさそうなイメージもあります。
なお、「魔神」も同じ訳され方のようですが、ドラゴンボールの魔人ブウはアニメだとMajin Buuですが、漫画だと Djinn Buu(Djinnはイスラム教のコーランにおける人間や動物の形で現れる精神的存在を指す) だそうです。
evacuation 〔危険な場所から安全な場所への〕避難、退避
handle 〔仕事などを〕担当する
rest 残り
警官から後の対処を任されるアキ。住民の避難など、事前にできる対処は警官が行い、それ以降の悪魔や魔人を処理する部分はデビルハンターが行うという流れがきちんと構築されているみたいですね。
newbie 新入り
bie って何だろうと思って語源を調べたところ「小さくする」、または「軽蔑する」意味を示す接尾語だそうです。
なお、newbieは失敗するものの、経験不足によるものが理由のため改善の余地があるとされていますが、ゲーマー界隈でつかわれるというnoobs は改善不可能なことをするとされています。noobs は相手を小馬鹿にする、悪口のニュアンスが強いのでな意味合いのようなので使わない方が良いそうです。
アキがデンジに魔人について教えるシーン&初めての魔人退治
distinct
目立つ、独特な、注目すべき
〔他のものと〕はっきりと異なる[区別できる]、違った
頭に特徴が出るのはなんででしょうね。
whutch ?
魔人の首をザッとはねた時の音なんですが、擬音としては見つかりませんでした。前の雨を調べた時と同じで、擬音の類は変化の仕方がわかりづらくて探しにくいです。。。
whut だけでいうと驚き(強調)を表す使われ方だそうですが、じゃあch はどういう意味?という状態です。
なお、ザッで調べたところ、〔勢いよく切りつけたり切り払ったりするとき〕の意味で、slashが該当しました。これは、剣などで切る動作なのでそのままですね。
魔人を見ながら淡々とデンジに説明を行うアキ、慣れてる感がすごいです。
そして、特徴的な頭をしていましたが、人の部分が多く残った敵を斧で一撃するデンジはやっぱ普通じゃない。
脱線①:日英の擬音(オノマトペ)について
調べていたところ、英語でよく用いられる擬音語・擬態語の数と比べて日本語の数が圧倒的に多いんだそうです。具体的には、英語が200語程度であるのに対して、日本語は1,000語以上存在するそうなので驚きです。
理由については下記リンク先の資料を読んだほうがわかりやすいですが、大体3つの理由がありました。
1)欧米では子供っぽいものであるとの考えがあり、大人になるにつれ使われない(日本では使われる)
2)英語では動詞・名詞としての意味を持つことが多いが日本語では音なども表す
3)オノマトペに「する」などを加えて動詞とする(例:ぞっと+する)などの体系的な生産性が高い(単語を作りやすい?)。
擬音語・擬態語に関する日英対象研究(西村 香奈絵):近畿大学リポジトリ
https://kindai.repo.nii.ac.jp/record/12745/files/AA12508620-20140731-0055.pdf
脱線②:日本語コミックの翻訳の難しさ
上記のオノマトペのように、日本語で伝えたいイメージをそのまま英語で訳したときに伝るようにするのは難しいらしく、
例えば『鬼滅の刃』に日本語から英語のオノマトペにした際に、音の印象がかなり違ってしまうそうです。
また、大正時代のレトロな空気感に関しては、これはもう日本語圏に住んでいないとさすがに伝えるのが難しいのか、言葉のイメージよりはストーリーがわかることを重視して翻訳されているそうです。
・生殺与奪の権を他人に握らせるな!!:NEVER LEAVE YOURSELF SO DEFENSELESS IN FRONT OF AN ENEMY(訳:敵の前で無防備でいるんじゃない)
↑ 難しいけれど、セリフ的には現代的なイメージになってしまいますよね。
また、『SPY×FAMILY』のアーニャの幼児語については以下のように表現をしているところもありますが、基本的には日本語のニュアンスよりからは読みやすさや自然な英語表現を優先しているようです。やっぱり結構大変なんですね。
ちち アーニャ ぼらんてぃあ へたくそだし やっぱり:PAPA, I KNOW I WAS A BAD VOL-INTEER(単語の意味を理解していない、流暢に話せない、音節で区切らないと話せない を表現している)
漫画『SP Y× FA MI L Y』におけ るキ ャラクター言語の日英翻訳(イ ー ヴ ァ ソ ン房 枝):日本通訳翻訳学会 JAITS
https://honyakukenkyu.sakura.ne.jp/shotai_vol23/No_23_001-Ivarsson.pdf
デンジを問い詰めるアキのシーン
bona fide〔偽物ではなく〕本物の、正真正銘の
sympathize 同情する
共感するの意味も。「シンパシー」については日本でも(最近は聞きませんが)「シンパシーを感じる(=同じ気持ち)」などの意味で使われていますよね。
entire 全体の
before one's eyes (すぐ)目の前で
suffer 苦しむ
あとあと出てくる天使の悪魔が悪魔の立場で同じようなこと言っていたなと思い、かつてのアキ君とちょっとだけ近いのかなって思いました。
アキのバディでしたし、今思い返せばあれはアキの成長を見せる話でもあったかもしれません。
デンジが悩むシーン
temper 〔人の〕気質、気性
short temper で怒りやすい、だそうですが、日本語版だと怒らせた、なのでちょっと意味が違うような気もします。lose one's temper でかっとなる、怒るだそうなのでそちらでもよかったのかと思います。話のリズムによるものでしょうか。
dirty 〈考え・言葉など〉けがらわしい,わいせつな
英語で読んでいて見逃していたのですが、dirty magazine でエロ本でした。
sexiness 色気
confirm 確認する、確かめる
" Sexiness confirmed ! " で「エッチ確認!」
デンジの新しい夢
cross the finish line ゴールする
アキと比べた時に、自分はもう夢にたどり着いていることから若干無気力になるデンジ。ポチタに話していた、「普通の暮らし」は達成していて(漫画的にも)なにか新しい目的がほしい。それは・・・!!
boobs おっぱい
個人的な記憶として、これを初めて聞いたのは『ハングオーバー!!! 最後の反省会』でした。
decent (社会的規準からみて)見苦しくない、ちゃんとした、きちんとした
抱くのは無理だけどおっぱい触るのであれば本気出せば行けるのでは?って思ってるのとアキの本気になれっていう忠告をもとに間違った方向に思いきり突き進むのが好きです。
血の魔人 パワー登場
melons 米・卑俗〉巨乳、でかぱい
ここ、日本語版では
デンジ「胸だ!!」⇒マキマ「ムネダ?」なのに対して
デンジ「Melons!!」⇒マキマ「Fruit?」と合わせているのがいいですね。
boobs!って言ってたら伝わってしまうから別の単語を持ってきて、なおかつ不自然なものにしていないのがすごいです。
and so on など
e.t.c(エトセトラ)と同じ。なお、カジュアルな会話ではなくフォーマルな会話で使うそうです(エトセトラも同じくだそうです)。
sake (~の)ため;理由
3話の時もそうでしたが、マキマさんがちょっと小難しい話(=仕事の説明=世界観の説明)をしたときデンジは全然別のことを考えていて、読者はデンジに感情移入しているから説明もあんまり読んでいないという、デンジと同じ体験をしつつ難しい話で読み疲れていない最高な状況になっていますね。
grovel (服従してまた恐怖で)ひれ伏す、屈服する
自動詞なので、自分から進んで、というイメージです。
恐れて、相手に対して熱心に過大なリスペクトを示す状態
https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/grovel
初対面でこんなこと言ってくるヤツとはバディ組みたくないな・・・
最悪な態度だぞオマエ。
looking forward to 楽しみにしています
日本語ではポップな文体で「よろしくなあ!」と言ってデンジのうれしさ(胸を見た後の感情)を表現していますが、
looking forward to もビジネス挨拶を兼ねつつデンジの感情を表しているのがとてもいいですね。
次のコマのもうやだ、みたいなアキの顔は置いといて。
4話でした。ようやくパワーが登場です。
アキとデンジが対立するシーンは後のアキと天使の悪魔のシーンに受け継がれている気がします。デンジとアキのように和解するところも含め。